執刀医に専門医資格なし 埼玉、報酬誤請求の病院

執刀医に専門医資格なし 埼玉、報酬誤請求の病院
社会
2019/4/23 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44095860T20C19A4CC1000/

埼玉県の草加市立病院が、保険適用の基準を満たさない腹腔(ふくくう)鏡手術を開腹手術として診療報酬請求していた問題で、病院が設置した第三者委員会は23日、最終報告書を公表し、執刀した男性医師(49)=退職=が2011年10月以降、専門医の資格を更新していなかったと明らかにした。「手術による直接の健康被害はない」としている。


 記者会見する第三者委(23日午後、埼玉県草加市)=共同
三者委によると、請求に誤りがあったのは08年以降に実施した子宮がんや卵巣がんの腹腔鏡手術95件。1件を除き同じ非常勤の男性医師が担当していた。保険適用には産婦人科専門医の資格や一定の経験が必要だったが、男性医師は満たしていなかった。病院も施設基準を満たしていなかった。
男性医師は第三者委の聞き取りに「更新を失念していた」と話した。
三者委は「病院は男性医師への監督が不十分だった」と指摘。事務部門も当事者意識が薄く、請求業務の責任の所在が不明確だったとした。その上で組織制度の改革を求め、組織全体や各部門をチェックする監査役を置くよう提言した。
病院によると、請求総額は計約1億4千万円で、現在実施されている厚生労働省関東信越厚生局の調査終了後に返還する方針。河野辰幸病院事業管理者は「検証の結果を真摯に受け止め、改善に努めたい」と述べた。〔共同〕