草加八潮医師会 災害時、開業医ら連携 地元密着、チーム発足へ /埼玉

草加八潮医師会

災害時、開業医ら連携 地元密着、チーム発足へ /埼玉

 首都直下地震などの大規模災害に備え、草加・八潮両市の病院や開業医でつくる草加八潮医師会は、両市の歯科医師会や薬剤師会と連携し、災害医療に即応できるよう「草加八潮メディカル・アソシエーション・チーム(略称SYMAT=シーマット)」の体制づくりを始めた。人口密集地での混乱や救命活動の遅れを防ぐのが狙い。医師会などが主導して災害時のチームを発足させるのは県内でも珍しい。【武田良敬】

 

 参加するのは、同医師会(医療機関数計137)と両市の歯科医師会(同125)、薬剤師会(薬局数72)の5団体。各団体は2000年代から災害時の医療救護活動で協力する協定を両市と結び、両市の地域防災計画に基づく活動の具体化に取り組んでいる。

 災害発生時、両市では県指定の災害拠点病院草加市立病院が重症患者らの治療に当たるが、軽症者や避難者が集中し混乱する恐れがある。

 SYMATの計画案では、(1)事前に両市域を11エリアに分け、エリア内の小中学校のうち1校を「センター避難所」と決める(2)災害時、医療関係者が各エリアのセンター避難所に集まり、市の災害対策本部と病傷者数や医療機関の被災状況などについて連絡調整(3)エリア内の医院や薬局の復旧支援とともに、センター避難所となった学校の保健室などに臨時診療所を設置。トリアージ(患者の重症度に応じて治療の優先度を決めること)や応急処置にあたる--といった活動を想定している。

 現在、センター避難所に集まることができる医師らの名簿づくりや両市の保健・福祉関係者とのネットワークづくりも進めている。

 草加八潮医師会副会長(防災医療担当)で草加市の内科医、内藤毅嗣さんは「医療者が自分の家族や施設の安全を確保したうえで市民の命を救うためにどう行動するか、具体的なルールづくりに踏み出すことが重要だ。市民も顔見知りの医師らがいれば安心につながるはず」と説明する。

 県災害医療コーディネーターの一人で、さいたま赤十字病院高度救命救急センター副部長の田口茂正さんは「災害時は地元の医療者を中心に、顔の見える関係で力を結集することが何より大切。先進的な取り組みだ」と話している。