<新型コロナ>子どもたちの食、守る フードパントリー

 

2020年3月4日東京新聞 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/202003/CK2020030402000134.html



   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、食品を子育て家庭などに無料で配る「フードパントリー」の取り組みの重要性が高まっている。小中高校の臨時休校で給食がなくなり、家庭の負担が増したためだ。子ども食堂を休止する代わりに、パントリーを始めようとする人たちもいる。 (近藤統義)
 一日、草加市内で初めて開かれたパントリー。寄付された野菜やレトルト食品、菓子が袋詰めで屋外の広場に並び、順番に訪れた八組が持ち帰った。タオルなどの日用品や古着も用意され、「買い物に来たみたい」と、はしゃぐ子どもの姿も。
 同市の主婦(39)は三歳から高校三年生まで六人の子どもを育てていて、うち三人が小学生。「食べ盛りの子ばかりで、給食がなくなると食費がさらにかさむ。この時期に食品を無料で提供してもらえるのは本当に助かる」と感謝した。
 パントリーを開設した同市の林明美さん(62)は昨秋から、食品の保管場所探しなど仲間と準備を進めてきた。スタート時期が今回の休校措置と重なったのは偶然だが、「給食がなくて困っている親が多くいるはずで、余った食品を活用することが今こそ大事だ」と強調する。
 一方、食事を無料や安価で提供する子ども食堂は、各地で休止が相次いでいる。多くの子どもや高齢のボランティアの集団接触を避けるためだ。
 三郷市で週一回運営する仲野いづみさん(57)も開催の可否を悩みつつ、今月末まで取りやめることを決めた。そこで「何かできないか」とパントリーに注目し、この日の活動の様子を視察した。
 パントリーなら食品を短時間で渡すだけなので濃厚接触を避けられ、困窮家庭に直接的な支援もできる。「いつも子ども食堂に寄せられる食材があるので、今月中に実施できたら」と仲野さん。川口市でも子ども食堂の関係者がパントリーの開催を検討する。
 埼玉フードパントリーネットワーク代表の草場澄江さん(56)も二日、「少しでも助けになれば」と越谷市内でパントリーを開いた。「多くの子育て家庭と普段からつながっているのが私たちの強み。親の困り事を聞き、どんな支援ができるか考えたい」と話す。
 ネットワークでは給食の休止で余った食材をパントリーで配布しようと、食品会社や問屋にも提供を呼び掛けている。