≪復職した小川市議の議員資質を問う≫①

2017.2.7(火) 東埼玉新聞

http://www.higashisaitama.com/index.htm#20170207


  ≪復職した小川市議の議員資質を問う≫①
青柳中CFC(元PTA)会計に疑惑

 

 小川利八議員が会長を務める草加市立青柳中学校CFC(CommunityForChildren)の会計処理で、草加市補助金を含む青柳地区古紙回収事業の助成金が複数年度計上されていないことがわかった。さらに累積繰越金約261万円を巡って通帳履歴の開示を求める地域住民の声があるのに、「市教委、学校との話し合いで解決済み」という姿勢でウヤムヤにしようとしている。
 組織の責任者として、市費を含む助成金をきちんと処理せず、関係者の情報公開を頑なに拒んで説明責任を果たさない行為は、市税の使われ方に対する見識が問われるし、市政をチェック・提言する市議会議員として相応しいか疑問だ。

古紙回収助成金(市費含む)を決算に計上せず、どこへ?

 草加市青柳地区では、青柳ゴミ対策協議会(町会やPTAなど17団体)をつくり、資源である古紙の回収活動をしている。ゴミとして焼却する費用を減らす狙いもあり、草加市が1キロ当たり7円を補助している。ここ数年の助成金額は200万~240年円。協議会は売上金と補助金の合計で運営され、実績などに基づいて各団体に配分。回収量はこの10年間で10トンほど減少し、各団体への配分額も減少せざるを得なくなっている。
 青柳中CFCの定期総会に提出された決算書では、2009年度30,000円、2011年度25,000円、2012年度25,000円が収入に計上されていない。PTA時代の2008年度の30,000円も計上されていない。各団体への支払いは、協議会の決算報告書に明細が記載されており、青柳中CFCへの支出も明記されている(団体名はいまだに青柳中PTAとなっている)。市民の血税を含み住民が回収に汗を流した成果の11万円がどこかに消えてしまったのである。2009年度を除くと小川議員が会長を務めていた。ずさんな会計処理の責任は、最初からCFCのリーダーでありほとんど会長を務めた小川議員にあると言っていいのではないか。
 協議会事務局は「領収書を確認しないと正確には言えないが、(記憶では)間違いなく払っていると思う。年度は忘れたがCFCの理事宅に届けたことがある」と話している。また、各団体への支払いは協議会の会議で現金を手渡しし、欠席団体については後日担当者に届けたという。会議には主に各団体の長が出席するが、青柳中CFCの出席者は分からない。

繰越金260万円~履歴開示拒否、通帳破棄、別口座新設

 青柳中CFCは、2015年度から会費を廃止し、事業計画・予算を策定しなかった。2016年度総会でも事業計画・予算が提案されなかった。
 繰越金は261万円余あり、会員や保護者OB、地域住民の中に「お金がないから事業も予算も提案できないのでは?」という不安と疑問が生じた。
 会長である小川議員に通帳の開示を求めたが「必要ない」「失礼だ」と一蹴されたという。理事に入っている学校側も2年前、小川議員に通帳の確認をさせて欲しいと頼んだが、「信用してくれ」の1点張りだった。
 昨年8月末、保護者OBが市教委に相談した。市教委の職員が小川会長に通帳を見せるよう要請すると「(疑われることで頭にきて)通帳は破り捨てた」と言い、確認することができなかった。その直後、CFCの中心的な女性理事が繰越金の総額に当たる現金を学校に持参したが、学校は「預かれない」と断った。その後、別の理事名義で預金されたという。
 この何が何でも見せないという子供じみた工作は「何かを隠そうとしている」と感じてしまう。議員の職をカサに“信用”を押し付けていることも…。
 会費は保護者と教職員らが出したもので、保護者からは学校給食費と一緒に口座引き落しをしており、いわば公金である。会員や学校はもちろん、会費を3年間払い続けたOBが通帳履歴の開示を求めるのは当然の権利、真っ当な組織運営なら公開する。実はここにCFCの大きな問題があるとみられるのだが、このテーマは別途取り組みたい。

「おかしくないですか?」と地域にビラで問題提起

OBらは市教委、学校と話し合ったが、通帳履歴の開示については消極的でどうにもならなかった。
 このため地域の人々に知ってもらおうとビラをつくり昨年10月から配布した。文面は「CFC(元PTA)のお金約260万円がどうなっているのか…わかりません」と疑問を列記したもの。非難や中傷ではない問題提起。青柳中の卒業生や保護者、同中を地域で見守ってきた住民に一緒に考えようと訴えた。
 このビラに関しては興味あるエピソードがある。ビラに名前を載せた男性(元CFC理事)のところに、学校に現金を持って行ったCFCの女性理事がビラの説明を求めてきた。男性が「要は、通帳履歴を出せばはっきりすることじゃないの」というと、ムニャムニャと聞き取れない言葉を発して泣き出したという。その涙が真実を語っているのかも知れない。
 開示を求めている側は「疑問だから公開してと言っているだけ。小川会長が使い込んだと追及しているわけではない」という。開示できない理由はどこにもないし、開示すれば納まる話である。

事実確認から逃げる市教委と学校

 通帳履歴の開示について、市教委は「任意団体の活動にあれこれ言える立場でない」が基本スタンス。繰越金の全額があったのだから、これ以上の詮索は必要ないということのようだ。これでは教職員が会員であることや会費を学校の集金システムを利用して徴収するなど学校運営の一環である根拠がなくなってしまい、社会教育団体であるPTA活動(一応CFCも類似団体として)が教育行政に位置づけられていないことの証になってしまう。
 学校は校長以下、教職員全員が会員であり、当事者である。かつては会計担当の理事が存在し、今年度は理事を4人も出している。ところが会計担当が決算報告書に署名捺印しないなど責任を果たしてこなかった。保護者と保護者OBの地域理事らで物事が処理され、学校側はスポイルされてきたようだ。このことに苦痛を感じないのは、「使い心地のいい財布」が機能すればいいと考えていたからだろうか。
 今回の問題でも、理事として事実確認ができ、しなければならない立場にあるはずだが、「(最悪の場合マスコミが押し寄せ)子供たちに動揺を与え、教育環境が損なわれる」ことを心配、市教委と同じく「ちゃんと残高があるのだから…」とフタをした。子供のせいにして責任逃れを図っているようにしかみえない。
 市教委、学校とも「大人の対応」とばかりに事実確認から逃げてしまった。この5年間でみると、700人を超す卒業生の保護者、延べ100人を超す教職員の会費に、一部とはいえ関係者が疑問を発している。深く受け止められないのだろうか。

【青柳中学校CFC】

 小川議員が中心になって青柳中学校PTAを改組した。「出来る人が、出来る事を、出来る時に」というボランティアの考えが基本。
 学校備品購入などの学校協力金に半分以上が使われているPTA会費の使い方の見直し、経験豊かな地域の人々と地域の中で学校を見守ることを柱に、2010年度に発足した。会員規定を生徒の保護者、教職員のほか「趣旨に賛同する者」に広げた。学校備品を市費で購入する流れを加速させたと言われている。
 朝のあいさつ運動、校内の草取り・花壇などの環境整備、生徒のAED講習、制服採寸・引渡し補助、体育祭の駐輪整理などの活動を進めた。従来の学校行事と部活動への補助を順次削減、会費も逓減し2015年度からゼロにした。一方、市PTA連から離脱し、ボランティア保険の加入をやめた。離脱はP連が飲食を伴う視察や忘年会・新年会が会費で行われていることへの批判で、保険はほとんどの会員が生命・傷害保険に加入しているからが理由。
 会の趣旨に賛同する者も会員になれるため、子供が卒業した後も会員または理事として活動できる。小川議員もこのケースで会長を務めている。地域の賛同会員は22人が最多だった。
新年度から学校応援団にするという方針を打ち出している。