草加の乳児虐待 母親再逮捕 暴行、防げなかったのか

草加の乳児虐待 母親再逮捕 暴行、防げなかったのか

一家が暮らしていたアパート。近所の人は乳児がいたことは知らなかったという=草加市

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 赤ちゃんへの暴行は防げなかったのか-。草加市の乳児虐待事件で、長女を骨折させた疑いで母親の上久保明日香容疑者(24)が三十日、草加署に再逮捕された。児童相談所は、母親が長女の子育てに「不安がある」とみて昨夏から毎月、家庭訪問していた。再逮捕容疑の骨折事件は、児相が医療機関などとも連携し、長女の成長は「順調」と判断して訪問をやめた後に起こっていた。(浅野有紀、森雅貴、井上峻輔)

 「養育に関して思い詰めている様子はなかったのに…」。越谷児童相談所草加支所の山田真理子支所長は、訪問をやめた当時の母親の印象を振り返る。

 関係者によると、長女は未熟児として生まれた。昨年七月に長女の定期健診に訪れた母親の不安そうな様子を、医師が気に掛けて同支所へ通告。未熟児は病気にかかりやすく、発達が遅れる場合もあるため、児相は養育支援が必要と判断して草加市と共に家庭訪問を始めた。母親は訪問を受け入れ、月一回の定期健診も欠かさなかった。

 児相は毎月、家庭訪問する一方で医療機関子育て支援センターとも情報共有し、長女の成長は順調と判断。十月六日を最後に訪問をやめ、市単独の養育支援へ切り替えた。

 母親の再逮捕容疑では、十一月ごろから日常的に暴力をふるっていたとされるが、十二月二十日に長女が医療機関にかかった際は、異変は見られなかったという。

 県警が親子の存在を把握したのは、今年一月に長女が真冬の自宅トイレに放置された事件の発生後。児相から県警への通報は、児童に負傷が認められる場合に限られる。今回も長女に負傷や育児放棄(ネグレクト)などの兆候が見られないとして、県警には報告されていなかった。

 県警幹部は「言葉が話せない乳児の場合、目に見えるあざや風呂に入ってなさそうな形跡がなければ見抜くのは難しい」と話す。

 草加署によると、母親の上久保容疑者は長女を妊娠後、夫の雄太容疑者(36)=保護責任者遺棄致傷容疑で逮捕=と離婚。ただ、その後も長男(2つ)と四人で草加市の自宅で一緒に暮らしていた。今のところ、長男に対する虐待は見受けられないという。上久保容疑者は調べに対し「長男と比べて夜泣きがひどく、育てづらかった」と供述している。