福祉対応力 ゲームで学ぶ ◇草加市・文教大生ら作製/悩みカードから最善施設選択

2017年2月17日朝日新聞

http://digital.asahi.com/articles/CMTW1702171100001.html?_requesturl=articles%2FCMTW1702171100001.html&rm=149

草加市・文教大生ら作製/悩みカードから最善施設選択

 

 市民から寄せられる悩み事への対応力を学ぶ教材「福祉SOSゲーム」を、草加市文教大学越谷市)の学生らが作製した。高齢化や子育て、就職など多様化する課題に、だれがどのように対応すれば最善なのか、訓練を積むことで素早い解決につなげるのがねらいログイン前の続き

 

 教材は、老人ホームや病院、ハローワーク、学校など「社会資源」と呼ばれる施設の場所が記された草加市内を模した地図と、カードを使用。カードには相談主の年代や世帯構成とともに、「妻が認知症で徘徊(はいかい)するようになった」「子どもが不登校になった」などの具体的な悩みが記載されている。プレーヤー(競技者)はカードを引き、内容に合わせて、どの施設やサービス、人物に紹介するのが最も良いか、他のプレーヤーと議論しながら判断し、結論が出た施設などにカードを置いていく。

 

 自治体の窓口に寄せられる市民からの福祉相談は、一般的には担当する部課につながる。しかし「最近は内容も複雑で多様化し、行政だけで解決するには限界がある」(市福祉課)。そのため、地域を良く知る民生委員や町会員らにも地元にある施設やサービスなどを知ってもらい、相談者と専門機関の橋渡しを積極的に担ってもらおうと、市と文教大側が教材の作製を発案した。

 

 同市と文教大は、人間科学部の森恭子准教授が7年ほど前から、市内の地域福祉講座で講演をするなど親交があり、森准教授のゼミ生が市や福祉施設で相談事例を聞きとり60種のカードを作成。約1年かけて教材を完成させた。

 

 「社会資源」「お悩み」「相談」の頭文字から「SOS」と名付けた。

 

 民生委員地域包括支援センターの職員ら68人が1月26日、市立中央公民館であった地域福祉講座で初めて教材を体験。10グループに別れ、30分で30件の悩みをつなぐのに挑戦した。クリアしたグループもあったが、11件しかできなかったグループもあったという。

 

 教材は、社会資源や悩み事を地域の実情に合わせれば、どのまちでも対応可能。森准教

授は「一概に『福祉施設』と言っても、どの施設で何ができるかを理解するのは、専門家でも難しい。教材を通じ、みんなで議論しながら学ぶことで地域の福祉力を向上してほしい」と話している。