草加市が新対策 排水路樋門「フラップ式扉」/地下道にバルーン遮断機/児童、生徒に避難方法指導 /埼玉

草加市が新対策 排水路樋門「フラップ式扉」/地下道にバルーン遮断機/児童、生徒に避難方法指導 /埼玉

 
 
伝右川の護岸に設置された「フラップ式扉」のゲート。下部の板2枚の扉が弁のように自動開閉する=草加市栄町で

「都市型水害」に備えて

 台風やゲリラ豪雨時に一気に増水する「都市型水害」から住民を守るため、草加市は新たな対策を始めた。雨水を河川に逃がす排水路のゲート「樋門(ひもん)」に、弁の仕組みで自動開閉する「フラップ式扉」を装備。冠水の恐れのある地下道入り口には車両の進入を防ぐバルーン(風船)遮断機を設置した。また一方では、児童・生徒に2メートル大の地図ボードを使って避難方法を指導するなどハード、ソフト両面で工夫を重ねている。【武田良敬】

 

 同市は住宅が密集し団地などの雨水がコンクリート排水路を経て650カ所で綾瀬川や中川などに流入する。場所によっては市街地が河川より低い、皿のような地形のため、水はけが悪く雨水がたまりやすい。1990年代までは、総雨量が200ミリを超えると床上・床下浸水被害が1万2000戸超に上るケースが度々だった。

 その後、国と県が利根川水系の治水を進め、市も排水ポンプ場を20カ所に増設するなどして被害は減ったものの、2013年の台風26号では157戸が、総雨量387ミリだった15年の関東・東北豪雨では44戸が浸水した。

 昨年度、市は「排水効率を少しでも上げよう」と排水路のゲートに「フラップ式扉」を採用した。もともとゲートは河川側の増水時に逆流を防止するため閉鎖するが、新たに河川の増水を感知するセンサーと可動式の扉二つを窓のように付け、陸側の水だけを排出する仕組み。東日本大震災後、津波の遡上(そじょう)防止策として再評価されており、県内では初の設置。市は中央部を東西に流れる伝右川の護岸3カ所のゲート(縦横約1・5~2メートル)を総工費5600万円で更新した。「ポンプより低予算」といい、今年度は市内のゲート230カ所のうち、古綾瀬川などの3カ所を「4窓付きゲート」に改める。

 バルーン遮断機は東武伊勢崎線下の「谷塚ずい道」入り口に今年1月に設置した。さいたま市加須市にならったもので、トンネル内が15センチ冠水するとセンサーが感知し自動でピンクのバルーン(長さ3・5メートル)が膨らんで通行止めにする。

 防災学習は、市内32小中学校で5月スタート。地域の水害危険箇所を詳述した市ハザードマップを教材に「側溝に近づかず、高台へ」といった心構えや対策を学ぶ。市は「自分の身を自分で守るため、役立てて」と話す。