小川市議、「居住実態なし」で失職へ 市税滞納・差押え~税で税を払う不合理
2016.8.22(月) |
5月31日に住民票の削除を受けた小川利八市議(49)=8月18日に草加新政議員団を離脱し無所属=の議員資格の有無を審査していた草加市議会資格審査特別委員会(浅井昌志委員長、百条委員会)は8月19日、「市内に居住実態があると認められず、議員資格を有しない」と決定した。 |
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9月1日に開会する9月定例市議会に諮り、出席議員の3分の2以上が賛成すれば直ちに失職する。委員会の採決では4会派すべてが賛成しており、本会議で議決されるのはほぼ確実な見通しだ。小川市議は失職後、決定を不服として21日以内に埼玉県知事に審査申立てができる。議員資格 公職選挙法で市議の被選挙権は市内に住民登録がある者と規定している。 証人尋問…本人は異例の4回、父親と長男も 特別委員会は、小川市議が初めに同市青柳の借家を退去した5月7日から同市北谷にある父親のアパートに同居していると証言したことから、ここでの居住実態を中心に調査した(同所に6月1日住民登録している)。証人として小川市議(4回)、小川市議の父親と長男、市の市民課長、借家を管理する不動産会社の担当者を呼び尋問した。現地調査はアパートなど3回実施。また、小川市議から居住実態を示す電気・ガス・水道の使用量の記録の提出を受け、委員からは居住に関わる資料が提供された。 |
本人の証人尋問が異例の4回を数えた。記録の提出延期や証言の食い違いなどを埋めるため「丁寧な審査」を進めたため。 証言の訂正で攻防…あわや証言拒否、偽証の疑いで告発へ 小川市議は、当初「5月7日以来、市内北谷のアパートで寝起きしていた。5月中は知人宅やサウナに4、5日泊まった」と証言していたが、8月15日に文書で「5月当初より、1か月余り、北谷と知人宅の柿木町に滞在しておりましたが、知人に迷惑が掛かることを考え、北谷に滞在と証言したことをおわびし、訂正したい」と証言の訂正を申し出た。討論・採決を予定していた8月17日の委員会は、急きょ小川市議の証人尋問に変更し、討論・採決を19日に延期した。 証人尋問で小川市議は改めて訂正について証言した。柿木町の知人については住所、氏名を明らかにしない条件で訂正に踏み切ったと説明したが、「どこの誰かもわからないで信用できない」と委員は納得せず、証言拒否に値すると指摘。休憩後、小川氏は家族ぐるみの付合いがある女性宅を具体的に示した。 証言の訂正は、従前の証言「5月7日以降は北谷に居た」が虚偽だったことを自白したもので、委員会は重要な事実を偽証したと受け止め告発することを決めた。 5月は半分以下の日数しか北谷に泊まっていない この日の証言で柿木町の知人宅に10日ほど泊まったことが判明した。「滞在」の文言が問題になったが、「連続して泊まったわけではない」と証言。委員長の主尋問「生活の拠点は北谷か」との主尋問に「住民票を置いてあるので、一応北谷に居るという認識はあります」と証言、北谷と柿木町のどちらとも取れる言い回しだった。 小川市議が5月中に北谷のアパートに寝泊まりしたのは、知人宅やサウナの外泊4~5日と柿木町の知人宅宿泊10日を除くと、25日のうち9~10日しかない。委員の一人は「柿木町に連続して泊まっていないけど、北谷にも連続して泊まっていない。どちらも生活の拠点にならない」と討論で断じた。 単身から2人暮らしになったのに水道使用量は減る一方 小川議員の北谷のアパートにおける居住は、「5月初めから居る。朝、(ロフトに寝ているため)顔は見てないがいつもの靴があるので居ると思う」という父親の証言(7月20日)しかない。 居住の指標となる水道使用量は5、6月分が17㎥で前年同期及び同居直前の3、4月分に比べ、ともに3㎥減少。7、8月分の使用量は15㎥とさらに減っている。父子とも炊事をせず、風呂を使わずシャワーで済ます生活だと証言しているが、6~8月は小川議員が外泊せず、週3回のシャワー(小川市議証言)使用を考えると解せない数字である。電気・ガスの使用量は、5月分でどちらも前年同月を下回っている。 2人暮らしの居住実態が客観的資料に反映されていない。 1週間、ロフト用はしごは窓に立て掛けてあった 一方、駐車場の使用実績は、車を使う日常生活では重要な指標だが、小川市議は月極め駐車場を借りておらず、主にコインパーキングを利用している。一部の領収書が示されたが、積極的に提示する努力が見られなかった。提示された日以外は北谷のアパートに帰らなかったと判断されても仕方がない。 7月中旬の連続1週間、アパートを視察した資料が委員会に提出された。小川市議の帰宅は午前零時前後という証言があり、委員の1人が午前1時~3時にアパートを視察したところ、寝場所であるロフトに上がるためのはしごが毎晩窓に立て掛けたままになっていた。寝た後に移動することは考えられず、この間は帰宅していなかったと思われる。同期間中、本人がアパート周辺駐車場に駐車した様子がないことも視察している。 小川市議は6月以降の外泊は示しておらず、この資料からは居住実態がないことの一部が強く窺える。 発端は単純…期末手当の支給基準日までに住所確定が必要だった 草加市議の1人は「こんな大ごとに発展するとは思わなかった」という。と言うのは「実は、6月の期末手当の支給基準日である6月1日までに住所をはっきりさせて欲しかっただけですよ」。小川議員が借家を家賃滞納で退去させられたことを知り、議員仲間は(議会事務局も)、「住所不定」で支給されなくなる恐れを心配したのだ。もちろん電話とFAXという議員の連絡手段もキチンとして欲しかったことも確か。 ところが、小川市議はチャランポランで、新住所が二転三転する有様。最後は名義借りみたいに弟の住所で登録し、5月31日の住民票職権消除に至ってしまう。翌日、父親が住む北谷のワンルームアパートに異動届を出して受理された。その結果、期末手当約114万円は小川議員にも支給された。 住家を失うという異常事態だからこそ、法と良心に基づく行動をすれば議員としての信頼を得たはず。小川議員は特別委員会で「川柳、青柳地区にこだわり、軽い判断でやってしまった」「初めから北谷にすればよかった」と証言したが、冗談ではない。この世の中をナメタ「軽い判断」が大ごとにした原因であり、周りの心配をよそに平気で住基法違反を犯し、市民生活のルールも無視したのだから、「自業自得だ」(保守系議員)。議員資格が問われるのは当然である。 一方、「これはいじめだ」「父親を呼ぶなんてやり過ぎ」という声もある。 |
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